大学の文学部を卒業後、鍼灸学科のある大学に入学し、はり師きゅう師の国家資格を取得しました。その後、現在の鍼灸院を設立し、日々患者様の施術にあたっています。
患者様に来院していただいて、施術後に「ラクになった」と言われることはもちろん嬉しく思いますが、より嬉しいのは、その症状が出る前に、こちらからアドバイスができた時です。例えば腰痛を持病としている方に対して「肩が張ってきたら、腰痛が出る前にいらっしゃってくださいね」と施術を勧めたところ、「この季節になるといつも腰痛になっていたが、ならなかった」と喜んでいただけた時は嬉しかったですね。
この仕事のやりがいは、いろいろな人と出会うことができることです。ほとんどが体調不良の方ですが、その方が“どういう体調なのか”を知ることは、その方自身を知ることだと考えています。
今後は、学生の頃から続けている中国医学や、そこから影響を受けた日本の鍼灸についての研究を継続し、“鍼灸にしかできないこと“を、一般の方により広く知ってもらいたいと思っています。
鍼灸とは手術や投薬を行わずに、はりやお灸といったシンプルな道具を使い、人間の身体にある361のツボ(WHO-世界保健機関が平成18年11月に認定)を症状に合わせて刺激することで、血液の流れを良くし自然治癒力を高めることが出来る治療法です。病気やケガをしないための予防治療や、神経痛、リウマチ、腰痛、肩こり、花粉症、ぜんそくやアトピーなど様々な症状を緩和、改善することができる伝統医学です。
はり師・きゅう師の資格は、医師と同じ独立開業権があり、鍼灸院を開業できることが大きな魅力です。はり・きゅうが身体に及ぼす効果のメカニズムも解明されつつあり、科学的根拠のある治療法としてスポーツ医療分野(スポーツジムやクラブチームなどで、スポーツ選手の体のケアやメンテナンス、コンディショニングなどを行います。)や美容分野(鍼灸を行うことで体質が改善され、内側からキレイになる効果があり、最近ではエステと併用で営業している先生も少なくありません)など、様々な分野で注目を浴びている国家資格です。
はり師・きゅう師になるには、国家資格を取得する必要があります。方法としては、高等学校卒業同等以上(男女)の資格を有する者で、3年以上のはり師・きゅう師養成施設を卒業することによって、受験資格を取得し、(3年課程では3年時の2月に卒業見込みで受験することができます。)国家資格に合格しなければなりません。
国家試験は14教科目の筆記試験があり、毎年2月の最終日曜日に実施されています。平成22年度国家試験の合格率は、全国平均ではり師83.0%、きゅう師83.6%です。
はり師·きゅう師は東洋医学をもとに身体の全体を診て施術を行い、自然治癒力を高めていきます。自然治癒力が低下する理由には大きく分けて3つあり、睡眠·飲食·ストレスが原因です。治療者はこの原因を特定してアドバイスしなければならないので原因を追及し、分析する能力が求められます。
現在のはり師·きゅう師には東洋医学の知識に加え西洋医学の知識が必要となり、柔軟な考え方が出来る人がいいでしょう。なにより国家資格なので勉強に対する意欲がある人が求められます。患者さんにアドバイスしていかなくてはいけませんのでコミュニケーション能力も必要となります。